Ball

INFORMATION

ボールの着地音のみで構成された楽曲と、それに同期する延々とボールが着地する映像を制作。YPから浅野と玉田、ゲストで写真家の三田周が参加してプロジェクトを開始します。ここでは、それら制作の進捗やその時に考えていることを現在進行形で掲載していきます。

CREDIT

roject Direction: Asano Takamasa🥜 / Music: Tamada Kazuhei🥜 / Movie: AsanoTakamasa🥜, Sanda Shu(GUEST) / Photograph: Sanda Shu(GUEST)

#4

2020.08.07

Tamada Kazuhei

楽曲制作1
収録した音声を並べて、楽曲をどのように構築していくかを考える。なんとなく、ミニマルテクノのようなソリッドで複合的なリズムをベースに、ポリリズム的に展開していくようなイメージが浮かんだので着工。ひたすらに波形を切り刻み、切ったり貼ったりを繰り返しながら楽曲を構築。拍子が入り混じることで得体の知れない感じが出せたら良いなと思って3/4と4/4の間を行き来するように打音を配置したり、ずっと流れ続けているようにキープしながら調整したりしているうちに、4分弱の曲が完成。
浅野と三田に聴いてもらったところ、展開がミニマムで想像の範疇を超えないとの事だったので再考。確かに、言われてみれば曲全体にぼんやりとある「テクノのお約束感」みたいな雰囲気が漂っていたりする。ハッとするようなポイントも無いわけではないが少しパンチ不足のようにも感じる。ここで、ボールの打音をリズムマシンの音源としてしか考えられていなかったことに気づいて反省。せっかく生の音、生の音場がふんだんに収録されているんだから、その生感を殺してしまうのは勿体無い。音量感もダイナミクスレンジをもっと取って、小さな音から大きな音の差をもっとつけても良いんじゃないか。まるで体育館の真ん中でバスケットボールをドリブルしているような臨場感があっても良いんじゃないか。そこから大量のボールがどかどかと降り注いでくるのも面白そうだ。尺ももっと長いほうが面白そうという話にもなったので、アイディアはいくらあっても足りないくらいだ。
ということで練り直し。一先ずこの楽曲は横に置き、新たなアイディアのスケッチをするように2つ並行で楽曲のラフを作り始める。一つは大量のボールが降り注ぐカオスな楽曲と、もう一つはポリリズムやエフェクトなどを実験的に試すような楽曲。

#3

2020.08.05

Tamada Kazuhei

ボールの打音採取2
ボールの音を収録する際に、まずどのような音を録りたいかを決めた。最初にイメージしたのは、体育館で鳴っているバスケットボールの音のような残響感とアタック感。ボールが地面をバウンドしているところをイメージしやすいようなサウンドを目指して録音をスタートさせた。
場所はダンスの練習室。レコーディングスタジオのような整頓された音場ではなく、鏡張りで部屋の響きが派手に残る場所を選んだ。マイクはボールの着地点を狙うガンマイク1本と、部屋の鳴りを狙うコンデンサーマイク2本の合計3本。なるべく位相が悪くならないようにヘッドホンで確認しながら位置を調整して、狙った位置にボールを落として収録。四方八方に転がっていくボールを追いかけながらの録音になった。結果的にかなり部屋感を感じる音源が収録できたが、この音源だけで楽曲制作を行うことを考えると少し賑やかすぎる気もした。ので、結局レコーディングスタジオに同じマイクを持ち込んで部屋鳴りを削ぎ落とした音源も収録した。先程とは打って変わって、かなりソリッドな打音が録れていたので一安心。予想はしていたが、やはりボールの打音は鳴らす部屋によって性質が変わった。

収録の様子→vimeo(外部サイト)

家に帰って録音物を聴いて、人間の耳は都合良く打音と部屋の反射音をMIXして聞いているのだと改めて理解した。打音を収録したマイクと部屋鳴りを収録したマイクの音量を調節して、理想の打音に近づける。それをすべてのボールで調整し、ようやっと楽曲制作が始まる。

#2

2020.07.27

Tamada Kazuhei

ボールの打音採集
ボールの打音だけの曲と映像を作りたいと聞いて、最初にボールの種類と録音方法を考えた。バスケットボール、ラグビーボール、野球の硬球/軟球、ピンポン玉、BB弾、お手玉…。意外に種類が浮かんでこない。何となく当たり前のように感じていた「ボール」は、思っていたよりも日常生活と剥離した場所に存在していた。
一通りボールをリストアップし、録音した際に音として似てくるモノを纏めていくつかのカテゴリに分配。例えばバスケットボールとサッカーボールは径の大きさや空気のハリ感などから地面に叩きつけた音が似てきそうだ、野球の軟球とテニスボールは素材は違えどサイズ感から似たような音が鳴りそう、など。予算も収録にかける時間も無限大に使えるわけではないので、ある程度使いたい音を整頓しておいた。
その後街を徘徊してお目当てのボールを購入。街には全く想定外のボールが沢山あって目移りした。クリスマスツリーの飾りや、知育玩具のような柔らかいボール、なんとも言えない柔らかい素材で作られたボールなど、目につくボールをひとまず買い物かごに突っ込んでいく。その後選定を繰り返し、最終的には17~8種類のボールが手元に集まった。

#1

2020.06.05

Asano Takamasa

構想
まず、延々とボールが地面に落ち続ける画が浮かんだ。時間が止まったような空間の中に、色んなボールが落ちたり跳ねたりしている。聞こてくる音は、民族音楽のような。交響曲のような。映る景色は、風景のような。劇のような。必然性とフィクション。普遍的でドラマチック。尺は長い方がいい。視点は静的な方がいい。無言の存在感。そんな事を考えながら想像していた。
多分、魅力を感じてる趣は特別なものではなくて、例えば車の走行時に通り過ぎる街灯や白線や補装路の段差の関係性に、プログラムと勝手な物語を妄想するアレだと思う。ただ今回はそんな「風景の観察→物語の妄想」の順番を入れ替えて、「物語の想像(楽曲)→風景の妄想(映像)」の順で進めてみる。なんでもない音を楽曲として成り立たせるための工夫や都合は、自然に特徴的な風景や現象に変換されると思うから。
まずはじめに玉田にそのような意図を伝え楽曲の制作をお願いした。

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